勇者ミキ〜一年後が描かれない理由について〜

今回はアイマス2の美希について。
ハッキリ言って、美希について書くってのは、それだけでプレッシャーなワケですよ。
なんというか……教授の前で論文の初稿を発表させられる新米研究生の心もち、と言えばいいでしょうか。
ですが、少なくとも2の美希に関しては、私自身で答えを探すしかなさそう。
その為には、今の自分から美希がどう見えているか、記録しておかないといけないでしょう。
というわけで、美希リーダーユニットでの、大賞受賞エンドと全勝獲得エンドを体験して考えた事を書いていきます。
美希をリーダーとしてのプレイは、まだ2回。ユニットメンバーとしてのプロデュースを含めても5回。
まだ見落としは多いでしょうけれど、今の私から見た美希のまとめです。
割とどうでもいい事ですけど、私は「トゥルーエンド」って単語が好きじゃなかったりします。……ホントどうでもいいな。
アイマス2のネタバレ記事となるので、念のため格納。
ストーリーに触れるアイマス動画も増えてきた事ですし、そろそろ解禁なのかなぁって気もしますけどね。
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さて、アイマス2の美希について考えるとなると、出発点はエピローグ場面になるでしょうか。

なぜ、彼女だけ1年後の姿が描かれないのか。
14歳の美希は、ただ一人「2年後」が描かれたアイドルでした。それが今回、彼女だけ未来のビジョンが存在していません。
これはつまり「完全制覇後の美希は、プロデューサー無しでの未来を描けない」ということ。
一方で、完全制覇を逃した美希は、ユニットメンバーと協力してのリベンジを誓います。1年後のビジョンを明確に描けている。
何故かなぁと考えた時に、美希の特性のひとつに気付きました。
彼女は、自分自身では目標設定ができないんですね。
スタートラインに立ち、ゴールがどこかを認識できれば、最短コースを本能的に感じ取り、不都合も跳ね返して突き進めるのが、美希の才能。
その代わり、彼女は自分の進むべき方向を、主体的に定めることができません。
例えるなら、ドラクエの勇者ですかね。世界を変える力を持ちながら、常に自分以外の誰かの意思で動く存在。
美希がアイドル活動に本気で取り組むようになったのは、竜宮小町のメンバーとして律子に認めてもらえなかったという挫折がきっかけでした。
この時、美希の中に「律子に認めてもらう」というゴールが設定された事で、彼女の持つ力が発揮され始めたワケです。
また、壊れた機材を直す力を生みだしたのは、プロデューサーの「もう一度美希の歌が聞きたい」という願いでした。
IA大賞を獲ると美希が決意したのも「プロデューサーがほしがってる」から。
彼女は「勇者」としての異能を成長させながら、その力を自分の意思で制御する術は得られないままだったんですね。
そして、美希自身も、その事を自覚しています。目標の無い状態では頑張る事ができず、新たな目標を設定する事もできない自分を知っている。
だから、竜宮小町に勝利した後のビジョンが描けない事に責任を感じ、アイドルを引退するとまで言うワケです。
美希をその様に導いたのは、他でもないプロデューサー。つまり「俺」。
美希が「俺」に思慕を寄せるのは、「俺」が美希に目標を示し続ける事ができる存在だと、彼女が無意識に感じ取ったからなんでしょう。
さて、その「俺」ですが、彼は先に書いた通り、美希をアイドルとして成長させる事=勇者としての力を伸ばす事、という方針がある様です。
そのままの美希を肯定する事で、美希の限界を突破する力を引き出し続ける……それが、2の美希担当プロデューサーです。
この育成方針を端的にあらわしている言葉があります。もっとも、対象は美希ではないんですが。
とりかへばや物語 その2

作:惜しいP

アホかどうかはおいといて、こういう事なんじゃないでしょうか。
ちなみに私は「俺」の育成方針を否定したいわけじゃありません。
忘れがちな事ですが、美希はまだ15歳。まだ少女と言っていい年頃の彼女を一年間でトップアイドルの座へ導くには、多少歪な形になってでも、美希の長所(アイドルとしてのではなく)を伸ばし続けるしかなかったんじゃないかな。
あと、ここまで書いてきて気付いたんですが、この美希は黒井社長、許せんだろうなぁ。
実際にプレイしていた時は、彼の美希への対応がどうにも妙に思われたんですが、なるほど。
彼の目指すアイドルは「孤高の存在」ですからね。どんなに能力が優れようと、それが他者に手を引かれてのものであってはならないと、彼ならそう考える筈です。
ゆえに、2において黒井社長は美希を低く評価し、「俺」についても「ダメ男」呼ばわりするんじゃないでしょうか。
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さて。
そんな美希と「俺」が、IA大賞を完全制覇したら、どうなるか。
彼女は日本でのユニット活動とアメリカでのデビュー、そして「俺」とのプライベート全てを充実させるべく、ハリウッドに降り立ちます。
美希なら、やるでしょうね。というか、全賞獲得後のアイドルは、全員が限界突破状態なので「それはねーよ」というのはナンセンスというものです。
ただし、それがどんな未来に繋がっているかは、「俺」のこれから次第。
「その後の美希達を知るものは誰もいない」となるか「そして伝説が始まった!」となるかは、ゲーム内では描かれません。
言ってみれば、最後の最後で「俺」……つまりプレイヤーは、竜宮小町に勝った時の美希と、同じ状態に置かれるわけです。
しかし、プロデューサーは自力で目標をみつけ、美希に示さなければなりません。それが美希Pの在り様だから。
この先、美希をどうプロデュースするべきか。それは、美希からプロデューサーへの宿題。
私はあのラストを、そう受け取りました。こりゃ美希Pの皆さん、大変だなーと。
というか彼女をプロデュースした以上、私も考えなければならないでしょうね。いやはや。