「真がともだち」をPVP的視点で見る

2010デビューのプロデューサーさんの動きが面白い事になっています。
【10年PVP資料】文字について

作:低機能P

カメラワーク、色調に続き「文字」についての考察動画が投稿されていました。
PVで文字といえば歌詞が代表的ですが、それだけでなく装飾や演出としての文字を見せる手法についても触れられています。
オチもついて楽しく見られるので、オススメ。
.
さて。
これらの「PVを魅力的に見せる為の技法」は、別にPV作品だけに適応されるべきものではありません。
映像作品であれば、どんな動画にも応用できるはずです。
その適用例として、先日投稿されたNovelsm@sterを一作、御紹介します。
NovelsM@ster - 真がともだち

作:velvet氏
真が「ある仕事」に張り切って出かけて行った後の765プロ事務所。
彼女の心情を思い遣る律子と、そんな律子に優しく、しかし強い想いと共に語りかける音無さん。
やがて仕事を終え、帰ってきた真に対し、律子は……。
シリーズ第4作となった今作は、真の「6月の仕事」をベースとして、アイドルとプロデューサー、アイドルと素顔の自分を描いています。
※参考動画
アイドルマスター 真 6月の仕事 虎真18

作:井川KP

原作コミュを活かすストーリー展開、効果的に使われる環境音やアイドルの声など、細部まで作りこまれた丁寧さを感じさせる逸品です。オススメ。
では、この作品を今日は「カメラワーク」「色調」「文字」の3点から見てみましょう。
1.カメラワーク
本来ならGIFで一部を抜くなりして説明するべきなんでしょうけれど、やり方がわからないので文章と止め画でご勘弁を。
この作品、ノベマスではありますが、カメラ=画面がとても効果的に動きます。
たとえば、律子と音無さんが「プロデュース」観をぶつけあう、4分過ぎからのシーン。

音無さんの言葉を受けた、律子のアップからスタート。ここで、視線を画面右(律子としては左)に動かす演出があり、音無さんは律子の画面右側に居る事がわかります。

音無さんの語り。この時、背景は左から右へ移動しています。言葉と共に、音無さんの存在感が律子側へ近づいている、そんな演出。

りっちゃん反撃。背景は右から左。ですが、視線を向けている側から背景がやって来ている為、律子が押されているような印象も受けます。
この後、二人ががより大きく描かれた状態で、同じカットが繰り返されます。ここまで、音無さんが律子へ視線を向けて居ないのもポイント。

音無さんが律子へ目を向けたカット。これまで画面切り替えで人物を別々に表示していましたが、ここではカメラが音無さん側から律子側へスクロールします。
この使い分け、面白いですね。
このあと、再びそれぞれ別のカットで言葉をかけあい、律子が爆発します。

これまで二人の会話を「横から」見ていた視聴者の方へ顔を向け、感情を露わにする律子のアップ。
ハッとさせられますね。と同時に、背景が事務所のモノではなく、灰一色になっています。
律子の心の色を表すと同時に、人物を強調する演出でしょうか。というわけで次は「色」に注目。
2.色調
ノベマスではいわゆる「立ち絵」が頻繁に用いられています。表情については各Pがよりイメージに近い差分を自作したりする場合も多いようですが、色合いについてはどうでしょうか?
まずは、梅雨の日曜でちょっと憂鬱な律子が事務所に入ってきたシーンから。

ちょっと暗い律子、輝きまくっている真、背景として溶け込んでいる音無さん。
この1カットで、3人の立場がはっきりとわかります。
心理描写を文字にしなくても、画で語らせているワケですね。
同じく、心理状態を色の変化で表したシーンが、こちら。

音無さんから「ある問い」を投げかけられた後の律子は、先のグレーバック状態から光の差すイメージへと変化します。
あえてセリフはなく、目や口元もハッキリと見せない演出もいいですね。
この様に、同じ立ち絵でも陰影の濃さや色の濃淡、背景色などで印象を変える事ができるワケです。
PVP資料動画で解説されている事と、原理は同じ。
では最後に、ノベマスのキモである文字について。
3.文字
この作品における文字は、ほぼ会話文で占められています。そして、その文章は基本的に画面下の余白(黒いけど)に表示されます。
しかし、作中で2つだけ、この基本構成から外れたシーンがあります。そのひとつが、こちら。

プロデュース業に対して持論を披露した律子へ向けられた、音無さんの疑問。ここから、カメラワークで説明したシーンへ繋がります。
恐らく、律子としては音無さんは自分の意見を肯定するか、軽く笑って流すかしてくれると考えていたのでしょう。
この一言が、律子にとってどれだけ大きなモノだったかがわかりますね。
ちなみにこのシーン、カメラは律子を下から上へ、スクロール表示しています。そして、小鳥さんの言葉が消えると色調が明るくなり、律子をハッキリと表示。
この1カットだけでも、様々な演出技法が使われてるというワケ。
もう一つのシーンについては作品を見ていただくとして、文字の表示についてもう一点。
この作品では、文字の表示が2パターン存在します。
通常の一括表示と、フェードイン・フェードアウト表示。どんなシーンでどちらを用いているか、ちょっと注目して見るといいかもしれません。
.
というわけで「真がともだち」を映像演出面から見てみました。
この様な視点を私が得る事ができたのも、PVP資料動画があったからこそ。
感謝しております。
まぁ、それはそれとしてこの「真がともだち」、本当にオススメのシリーズなので、ぜひ一度、いや二度三度と見ていただきたいですね。
きっと、いろんな発見や楽しさ、そして感動がある筈です。
ではでは、今日はこの辺で。
このエントリーをはてなブックマークに追加