終わる事の幸せ

連載モノの作品を読み終える時、その最後の一冊を手に取る時というのは、喜びと寂しさが混じりあった感情になるものです。
単行本の小説から遠ざかっている私ですが、ノベマスの最終回を再生する時には、同じ気持ちが湧き上がってきますね。
そして、他の視聴者が残したコメントによって感情が増幅されるのがニコニコの特徴。
自分と同じ想い、あるいはまったく異なる視点からの感想に、更に心を揺さぶられる。ひとりで楽しむ本との大きな違いだと思います。
昨日めでたく最終話を迎えたこの作品は、そんな事を再確認させてくれるものでした。
【ニコニコ動画】気象衛星ひまわり最終話「宇宙に咲く花」

作者:忍太郎P
存在はみんなが知っているけれど、意外と知られていない気象衛星「ひまわり」のドラマ。
まずなにより、このテーマを選ぶ着眼点が素晴らしいと思います。
そして事実に基づきつつも、物語として楽しめる為に簡略化や改変がされたストーリーと登場人物。
特に「ひまわりさん」のキャラクターづけが見事でした。好きにならずにいられない、ってやつです。
全六話・第一話から完結まで約二ヶ月というテンポの良さも、人気の理由だったかもしれません。
今後、番外編の展開があるようですが、ひとまずはお疲れさまでした。 忍太郎Pに拍手を。

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好きな作品が完結する事。
それは切なくもありますが、それ以上にストーリーの収束を見届ける快感や、「この物語を読み終えたんだ」という達成感を与えてくれます。
そして、時にモチベーションの低下や様々な都合で、連載が難しくなる事もあっただろうプロデューサーへの感謝の想いも。
今日は、今月に入ってから最終話を迎え、私にそんな気持ちを与えてくれた作品を紹介させていただきます。
『雨空』

作者:ピヨ談P
2010年1月第4週まで「週刊アイドルマスターランキング」の編集を担当していたピヨ談Pの作品。
初めてこのシリーズに触れたのは第9話だったと思います。
【ニコニコ動画】【NovelsM@ster】『雨空』9話―あなたのためのチケット―

「あなたのためのチケット」というサブタイトルと「約束の時間まであと10分。」という投稿者コメントに惹かれました。
そして、瞳に光の無い春香さんの姿に度肝を抜かれ、すぐに第1話へと跳び、全話を一気見してしまったわけです。
ランクAエンド後の春香さんが主人公。物語は春香さんが「プロデューサーさん」に宛てて書いた手紙から始まります。
黒い背景に綴られる言葉と、響く雨音。「私は……私の心はあの日から、ずっと雨空です」
春香と「プロデューサーさん」、千早、そして春香の「プロデューサー」。
登場人物が絞られているが故に、キャラクターに厚みがあると感じました。
全13話、各話の再生時間は4〜10分程度と比較的短く、かつ内容は濃密です。
この記事を書く為に最初から見直したのですが、最終話を見終えた時、満足の溜息が洩れました。良いです、うん。

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未来偶像図

作者:瑞P
瑞Pが「iM@S架空戦記ウソPart1」に投稿した12作品のひとつ。
ある日765プロを訪れる、アイドルを引退した雪歩。その傍らには、彼女によく似た少女が……。
ゲームの様にループせず、時が流れる世界。そこではアイドル達に年齢差が生まれ、それぞれの人生が形成されています。
当たり前の事ですが、それがノベマスで提示されるのはなかなかに新鮮。
そんな中でゲーム通りの年齢である春香と千早、そして大人の女性として登場する雪歩。
それぞれの強さ、それぞれの弱さがぶつかり合う中で生まれる、全3話でのしっとりとしたストーリーに見入りました。
他の作品も続編が次々と投稿されており、どれも読みごたえ十分。今後も期待しています。


体重 -Weight-

作者:じんぐーじP
こちらは今日完結した作品。第一回投稿の時点で予告されていた通り全六回、総時間は約35分での締めとなりました。
終わりが明確に示されていると、観る側も安心できていいですね。
「ある朝、春香さんが目覚めると、ある魔法がかけられていた事に気付く。アイドルにとって余りにも惨いこの魔法を解く術、それは……」
というストーリー。「そんな発想あってたまるか」といった設定ですが、読み進めると笑いありサスペンスありのお得な内容。
背景はほぼ事務所のみ。それでも工夫次第で面白い作品は作れるというイイ例です。気軽に楽しめますよ。オススメ。
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終わりを迎えた作品に感謝を。連載を続ける作品には応援を。新たに始まる作品には期待を。楽しみは尽きません。
プロデューサーの皆さん、ありがとう。私はノベマスが大好きです。