歌とストーリーPVとノベマスと

先日、衛星放送で「アクターズ・スタジオ・インタビュー」という番組を観ていたら、その日のゲスト「ライザ・ミネリ」(Wiki)が、こんな事を語っていました。
「私は歌を歌う時、まずノートの右半分に歌詞を書く。そして左半分には登場する女性について分析した事を書く。女性の容姿、性格、人生、歌う直前に何があったか、彼女の家のカーペットの色までも、細かくね」
いかにもミュージカル俳優らしい歌への向き合い方だなーと感心した次第。歌に魂を込めるっていうのは、こういう事なんだろうなと。
そんなライザ・ミネリの歌がこちら。上の言葉をふまえて、どうぞ。
【ニコニコ動画】ハリウッド・ミュージカル傑作選Vol.36「CABARET」

まぁ、すげーっすわ。

さて、カーペットの色を考えるかどうかはともかくとして、ステージで歌うアイドルの背景を考えるのは、プロデューサーの皆さんも同じかと思います。
特に「ストーリー系PV」と呼ばれるカテゴリーでは、歌詞やメロディーが作り出す世界の中で、アイドルがひとつの物語を演じています。昨日投稿されたこちらの作品などは、その好例でしょう。
【ニコニコ動画】「卒業写真」− 輝く思い出

【ニコニコ動画】「Good bye school days」− 変らぬ思い

作者:オヤジオナ氏
伊織とやよい、ふたりの人生をそれぞれの視点から描いたPV。ふたつの作品を続けて観る事を強くお勧め。切なさと暖かさをくれる、素敵な作品です。
作品中でスナップ写真が効果的に使われているのですが、おそらく氏は、この写真が撮られた時の背景なんかも設定しているんだろうなぁ。二人だけでなく、周囲に居る765プロメンバーとのやりとりなども、切り取られたひとつのカットから聞こえてくる様です。
一方、Novelsm@sterのカテゴリーにも、歌を効果的に用いた作品が多数あります。こちらはアイドルの演じる物語に主軸を置きつつ、背景として流れる歌にも意味を持たせる、という形のもの。
【ニコニコ動画】【NovelsM@ster】ミルクティー/如月千早【短編】

作者:寿司P
コーヒー好きな千早と、紅茶好きなPのティータイム。小鳥さんのミスで紅茶が切れていた為、渋々コーヒーを頼んだPを見て、千早はある行動に出ます。
この歌「ミルクティー」の歌詞はこちら。ああ、千早らしい歌詞だなぁ。
作品のテキストと併せてみると、作品中の千早の心理がとてもよく伝わってきます。
【ニコニコ動画】アイドルマスター 音無小鳥 「花」

作者:いちじょーP
9月9日、いつも通りの仕事を終えた小鳥さん。荷物をまとめ帰ろうとした小鳥さんは、社長のデスクにプレイヤーを見つけます。何気なく再生すると、聞こえてきたのは懐かしい歌……。
小鳥さんと社長についてはバックストーリーが公式でも不明瞭なままですが、それ故に私達がいろいろと想像する事ができます。この作品は小鳥さんの曲「花」をもとに、小鳥さんの心情を綴ったもの。現役時代の自分の歌を、彼女は今どんな思いで聞くのでしょう。そして高木社長は?

こうして見ると、ストーリー系PVと歌を用いたノベマスは、その境界がかなり不明瞭なんだなぁと感じます。特にノベマスに分類されている作品の中には、ストーリーPVとして紹介できるものも多いのではないでしょうか。
生放送やアンケートなどを拝見していると「ノベマスだから」と作品を回避されている方が予想以上に多い様ですが、カテゴリーに縛られる事なく作品を見ていってほしいなぁ、と思い今回の記事を書いてみました。