2011年上半期ニコマス20選・中編

前回からの続き。
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08
気の利かないプロデューサーと、駆け出しアイドルの話。

作:ガルシアP

千葉なのに東京な某遊園地が、なぜ「夢の国」で在り続ける事ができているのか。
それは、あの場所に在る全てが、そう在ろうと作りこまれているからです。
各アトラクションに始まり、従業員、飲食物、殆ど人の目に触れる事のない小物に至るまで。
空間そのものが「ここは夢の国である」と主張し続ける事で、訪れる人へ夢を与える事に成功しているワケですね。

今期、多くのNovelsm@ster好きを唸らせた、この「とのばな」シリーズ。
その人気の理由の一つが、登場人物の徹底した作り込みなのではないでしょうか。
原作の設定やキーとなる性格を踏まえつつ、「とのばな」独特の世界観、空気感に沿って、各キャラクターが強烈な個性を発揮する物語。
舞台やミュージカル映画、あるいは先に挙げたアミューズメントパークにも似た、完成された一個の世界がこの作品には存在します。
シルエット処理されたキャラクター達の姿も、視聴者の理想を投影できる装置として機能しています。
だからこそ、作品を見る者の間にも、ある種の一体感を生み、皆で物語を楽しもうとする、良質の空気を育んでいるのではないでしょうか。
そんな中で、視聴者が最も感情移入するだろう役「プロデューサー」に、「彼」を抜擢した事。
アイマス2発売から約一ヶ月、第1話の時点では僅か数日の段階で、その適性を見抜いていたガルシアPは、素晴らしい「目」を持っているなと。
私はこれまで、20選には作品の第1話を選んできましたが、この「とのばな」に関しては、彼が登場した第2話こそがスタートだろうと感じた為、今回の選考となりました。
現在は第8話まで進行しているこの物語が、どの様な未来へ続いていくのか。楽しみにしています。

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09
【アイドルマスター】FUJISAN ROCK FES

作:ドドリア

かかってらっしゃい!

その程度ですか?


私達は、負けない!
この作品については、初視聴時に勢いで書いた記事以上の事を書ける気がしないので、ひとことだけ。
最高でした。
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10
アイドルマスター/supernova

作:1,2のジャンゴ氏

先日の「みんなの最近のマイフェイバリット」企画で推薦させていただいた作品です。
その時の記事はこちら
いわゆる「流行りの絵」ではありませんけれど、そんな事を吹き飛ばすだけのパワーに溢れています。
自分のアイドルの為に、笑って泣いて怒って叫ぶ。
それがプロデューサーだろと。

このシーンが大好き。美希のアホ毛くるくるがかわいい。
あとはこのシーンとか。

この鬼気迫るπタッチ。
なんか意味不明にグッときちゃいました。
手が届かないなら、届く様に道理を破る。
それがニコマスだと。いや、いいモノを見させていただきました。
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11
【アイマス2】 なにかとおしゃれなアイドル番長

作:八位P
765プロ所属アイドル、秋月律子
 彼女はトップに立つ事はできなかったが、ファンの皆から愛される幸せなアイドルであった。
 やがて彼女は引退。自分の目標であったプロデューサーへと転身する。
 ファンは悲しみつつも、彼女の新たな門出を祝福したいと考えt


納得できねぇよ!
うむ。よくわかるぞ羅刹くん。
この作品において、冬馬はいわば「疑似俺ら」という役割を与えられています。
アイドルとしての律子が見たい。彼女とステージで競い合いたいという願いを表現する存在として。
ともすれば重くなりそうなテーマなのですが、ふたりのやり取りを楽しんでいる様な765プロ961プロの皆さんが、実にいい仕事をしてくれます。
ネタ満載にしてダンスは完璧。軽薄な歌詞に乗せて、律子と冬馬を煽る煽る。
で、満を持して出てくる律子が「そりゃホレるわな」というカッコよさなのが、また凄い。

前半のコミカルなステージから、後半のガッチガチなダンスへの転換が実に気持ちいいのです。
これには冬馬くんも大満足。

私も大満足。何度見ても楽しめるお得感満点のPVです。
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12
【アイドルマスター】 FLASHBACK DISCO

作:kiiro_sponge氏

リピートした回数で言えば、今季最大の動画かもしれません。
この作品、素材となっているのは公式のアイドルマスター2PV第6弾。LMGお披露目のアレです。
このPVが公開されてから、どれだけの作品がこのLMGを素材として作られてきたでしょう。
アイマス動画を見続けてきた人の多くにとって、このダンスステージは脳裏に刷り込まれている映像。
このPVでは、6thPVが持つそうした特性を利用しているのだと思われます。
曲の序盤で、見慣れたステージを約30秒間見せ、「これはあのLMGですよー」と視聴者にコンセンサスを与えておいて、一気に壊す。

光の線と、色の明滅に分解されたアイドル達。それでもなお、彼女達の姿は強烈に印象付けられます。
後半ではダンスを逆再生する事で、更に映像の破壊力を増幅。
電気グルーヴテクノサウンドと一体化しつつ、アイドル達の個性をも焼きつける映像美。
まさにフラッシュバック。
ラストで雪歩が水面に溶けていく表現も、また快感を誘います。

なお、フラッシュ表現が苦手な方は要注意。
それ以外の方は爆音&全画面推奨で。ブッ飛べますよ、間違いなく。
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13
アイマス手書き/ぼくのはるかちゃん#1

作:電動P

天海春香に恋をするとは、どういう事か。
この作品は、その問いに対する、ひとつの回答。
彼女に恋をして、想い続け、とうとう彼女の場所へ辿り着いた、ひとりのプロデューサーの物語です。

これは喜劇でしょうか、それとも悲劇でしょうか。
作品自体がその評価をする事はなく、物語は彼の姿を淡々と追っていきます。
でも、春香さんと一緒にいる彼は幸せそうで、そんな彼に、春香さんはいつも微笑んでいて。

現在までのところ、ストーリーは第3話まで進行。
彼がこの先、どんな道を選択するのか、しっかり見届けたいと思っています。
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14
ひびきさんたちに「帰ってほしいの」を演ってもらったよ。

作:しおP

「帰ってほしいの(I Want You Back)」は、かのマイケル=ジャクソンがシンガーとしてデビューしたユニット「ジャクソン5」が1960年代末に発表した曲。
アイマス2で正式に765プロの一員となった響が、ニコマスという舞台でのキャリアの初期に、この楽曲と巡り合えたというのは、もの凄く幸運だったと思うのです。
イントロ部の照明を絞ったステージと、緩やかなダンス。
期待を焦らす様な50秒間を経て、響が第一声を発した瞬間の驚きが、もう最高。

響がマイケルだ!いやマイケルが響だ!
まるでキング・オブ・ポップがその身に宿ったかの様に、完全に「そのもの」なんですよ。
よもや少年マイケルの歌声が、ここまで響にマッチするとは……。この組み合わせに気付いたしおP、マジ御手柄です。

この表情!
曲自体はいかにも60〜70年代のR&Bといったムーディなリズム。
メロディの方が緩やかに盛り上げていくのに対し、マイケル=響のシャウトが冴える冴える。
後半の畳みかけはもう、たまりませんわ。
脇を固める貴音ほかの4人も、ここぞという瞬間ではばっちりアピールしてくれますし、スローな中にも見所満載。
忙しい世の中、時にはこういった曲とダンスに浸ってみるのもいいんじゃないでしょうか。
余談ですが、響はR&Bの源流である霊歌との適性が高い気がします。
涙そうそう」をカバーしている事もあって、シャーマン気質といいますか。
沖縄の言葉では「ユタ」と呼ぶそうですが、そうした血を感じるんですよね。私だけかな。
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後編に続きます。