視点・流転・びっくり仰天

「ザッピング」という言葉、ゲーム等では時おり目にしますよね。
ZAPZAPZAP!
……ではなくて、視点切り替えという意味の方です。
以前「セルフカバー/セルフバカー」で紹介したプロディPの作品「迷い猫」の様に、同じ世界や同じ出来事を、
異なる視点から見せる手法。
見えなかったものが見えたり、見えていたものが見えなかったりと、ひとつの事柄をより深く、多面的に楽しむ事が出来る演出です。
今回は、そんな「ザッピング」を用いた作品を御紹介します。
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ミーティング【伊織】

作:ハヤブサP
一日の仕事を終えた後、事務所で残業をする星組プロデューサー「海」と、それを眺める伊織。
聡い少女と、余裕の大人と。
短いやり取りの中で、ふたりは何を考えていたのか。
ふたつの視点で語られる、ひとつの時間がとても大切で愛おしく感じられました。
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夢のはじまり、現のおわり

作:素数traP
ある朝、ベッドの上で悪夢から目覚めたP。横にはあずささん。
どんなに酷くても所詮は夢の話、何気ない幸せな日常が始まるはず、だったが……。
この作品にはドキッとする仕掛けが施されています。そしてタグにある通り、この話は3つでひとつ。
P、あずささん、そして美希。3人が体験するひとつの「悪夢」をご覧あれ。
そして、ふと見たら「刺しm@s」タグが。うん、納得。
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あるエピローグ

作:ナイアルP
アイドルアルティメイトに敗れた、ひとりのアイドルの終わりと始まりを描いた作品。
ぴよm@s」参加作品という事なので、主役が誰かは言うまでもないですね。
彼女と、彼女のプロデューサーによって語られる、過去と現在の物語。
語り部であるふたりと、もう1人の登場人物のスタートを応援せずにいられない。心温まる、素敵な作品です。
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テレフォン・パスワード

作:ハリアーP
ある大雨の夜、密室に閉じ込められた雪歩、千早、あずささん、そして息絶えたP。
彼女達は生き残る為、なんとか外部と連絡を取ろうと方法を探します。そして……。
3人それぞれの一人称視点。そこでは彼女達が隠しているエゴが、容赦なく露わになります。
果たして彼女達は脱出できるのか。そして、真実とは何か。
陰鬱でありながら疾走する展開に見入りました。
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最後に、物語中でのザッピングではなく、虚実の壁を超える視点の切り替えという意味で併せてご紹介。
萩原、ゆりしーやめるってよ

作:愛識P
765プロのアイドル、萩原雪歩がデビュー当時からの当たり役であった「長谷優里奈」を降板、
新たに「浅倉杏美」として再スタートする事を発表する……という作品。
初見時は出だしで「えっ?」と揺さぶられ、その迫力に気圧されたまま最後まで見てしまいました。
このテーマを、この視点で描くのは相当な力量と勇気が要る事だと思います。
映像演出、メッセージ、BGMとして使用されている楽曲、全てがに力がある。
ひとつの映像作品としても素晴らしいので、挑戦的なタイトルに負けずに一度見て欲しい作品です。
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流石ニコマス、様々なジャンルでザッピングが使われています。
ひとつのテーマでいくつもの味を楽しめる、お得な作品達でした。
というか、ニコマスというジャンル自体が、アイドルマスターという世界を様々な視点から捉えているわけですから、
全作品がザッピングの分岐先、と考える事も出来ますね。
ホント、贅沢な世界です。ではでは。