The 9thを観る

このブログではNovelsm@sterを主に紹介していますが、もちろんPV系動画も楽しませていただいてます。
音楽やダンスに関してはノベルス以上に全然わからないので、そちら方面は単純に「これはいい!」くらいしかコメントできないのが情けない。
じゃあストーリー系PVなら、と思い書き始めたら、なんと過去最長の記事になってしまいました。
慣れてないとはいえ、これは酷い。
それでもいいや、という方はお付き合いください。

とりあげるPVはこちら。
【Voc@loidM@ster 千早】The 9th

作者: brookP
ボーカロイドというジャンルは全く未知の領域なのですが、この作品はそんな事に関係なくクリティカルヒットしました。
非常によく練りこまれた、素晴らしいストーリーPVだと思います。
以下は動画の個人的な解釈なので格納します。そんな事より作品を観てほしい。
なんというか、書きたくて仕方なくて書いてる状態なので、まとまらない可能性大です。
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タイトルの「The 9th」とは、太陽系第9番惑星「だった」星、冥王星の事。大百科にて歌詞にこめられた意味、冥王星という星について解説されています。
ちなみに冥王星については「アイマス教養講座」にも解説動画が存在します。
【ノベマス?】律っちゃんの冥王星講座 【教養講座?】

作者:がんびっとP
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文字のみの大百科よりも詳しく、かつわかりやすく、冥王星のたどった運命とそれに関わった人々について解説されています。興味のある方にはお勧め。
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私は子供のころから星が好きだったもので、この「The 9th」の歌詞は非常にすんなりと受け入れる事ができました。今まで興味がなかったボーカロイドの歌声に聞き入る事が出来たのも、このテーマだったからこそ、かもしれません。
そして何度も何度もPVを観ているうちに、アイドルマスターという世界にこの歌を持ってきた意味がわかってきた気がしました。
―また時間は進み 輪を描きだす また同じ場所へ 向かうだけなんだろう―
ループ。
アイドルマスターというゲームの仕様において、最も非情に思えるのが「1年での活動強制停止と、それに伴うアイドル達のリセット」ではないでしょうか。
ニコマスにおいては1年の先を描いた作品がいくつもありますが、ゲーム内ではアイドル達は永遠に一年を繰り返す運命にあります。
それまで得た地位(冥王星という名前そのもの)やプロデューサーとの思い出(太陽系再遠惑星として取り上げられてきた事)も、プロデュース期間が終われば第一週に戻る。ゲームシステム(天文学分類上の制限)の名のもとに。
―与えられたのは 無意味な名前 何も知らない 僕らの我侭だったんだ―
イントロ部分でアイドル達の名前と光点=星が表示される中、「The 9th」である千早だけが自身のシルエットだけなのも

カレンダーと思い出の輪の中に閉じ込められているのも

冥王星=アイドルの宿命を描写しているんだなー、と。
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で、ここまで考えて、思い出した動画がひとつあります。
アイドルマスター 君の知らない物語 秋月律子

作者:トカチP/DSP
2009下半期20選に入れるか否か、悩みに悩んだ作品。それ故に何度も繰り返し再生した動画です。
星、アイドル、そしてループ。この二つの作品の描くストーリーは、とてもよく似ています。

「The 9th」の世界に素直に入っていけたのは、もしかしたらこの作品があったからかもしれません。
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そして、「The 9th」の千早は、このループの先へ進もうとします。
勝手な解釈ですが、この「The 9th」は「誰も知らない物語」の律子へのアンサーでもあるのかな、と。
―いつか昨日を今日と いつか今日を明日と 呼ぶ日が来るのなら―
暗闇の中で、他のアイドル=星達の光を受ける千早がこちらへ振り向き、自ら光を放つシーン。

―螺旋の始まりを 確かめに行こう 生まれた理由を 確かめに行こう―

これまで白あるいは黒一色だった背景はステージへ変わり、心地よい解放感と共に曲はクライマックスへ。

―繰り返すだけのこの 現実ごと偽れるように 抜け出せるように―
HMD(ゲームシステム)を外して歌う千早は、思い出のループをも解き放ちます。

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そして千早は「TRACE BACK THE ORBIT(軌道を戻れ)」という言葉と共に、始まりの場所へ帰っていきます。場面はクリスマスライブ→秋の大感謝祭→サマーフェスティバル→春祭りアイドルスペシャルと遡り、春香とふたり私服で歌うシーンへ。
―いま 時間は 止まって ほら 始まりの メロディーが 聞こえる―
ここで再びアイドル達は星として描写されます。仲間達の光と共に歌う千早。そのシルエットにHMDはなく、そして。

自身も蒼く輝く星となって終幕。すばらしい。
この作品はこれからも繰り返し見ていきたいと思います。
brookPに感謝と賛辞を。