2012年下半期ニコマス20選・後編

前編からの続き。No.11からNo.20までの紹介となります。
さっそくいってみましょう。まずはこちらの作品から。
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11
【Novelsm@ster】チハと千早 第1話 プロローグ

作:武蔵野P/百合根P/ばんなそかなP

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メカ千早と、「ココロ」。
このキーワードだけで、メカ千早好きにはたまらない。今期、R2Pによる「ココロ」PVが発表されましたが、果たして偶然だったのかどうか。
なんにせよ、実に喜ばしい半期となりました。
さて、アイマス2ではHMDアクセサリーがいまだ登場せず、その中で、メカ千早をどの様に登場させるのかと思いましたが、なるほど。
15歳の千早をモデルに作られたメカ千早と、開発中に成長し16歳となった千早。こういう形で共存できるのかと、膝を打って感心したものです。
そうして過去の自分の姿をした機械と向き合い、その成長を見守ろうとする千早。
それは逆説的ではありますが、自身の過去と現在を見つめ直す作業でもあります。
自らの言葉に対し、素朴な「何故」を返してくる、もうひとりの自分。それは千早にとって、かけがえのない体験となるはずです。

元々は、ばんなそかなPの手によるSSだったという、この「チハと千早」。ジャンキーとしては是非そちらも拝読したいものですが、
この作品においては、動画化する意義は大きかった様に思われます。自分に似たモノと向き合う、というイメージを、具体的に示せるのですから。
のみならず、百合根Pのイラスト、そして武蔵野Pによる優れた映像表現により、まるで短編映画を見ている様な印象を受けます。
そう、あのシネ☆MADを思い起こさせる様な、グッドコラボレーション。
現在は全4話中の3話、大きな転換点を迎えている「チハと千早」。
ふたりがどんな場所に辿り着くのか、最終話を楽しみに待ちたいと思います。
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12
モバマス無課金日誌 最終話

作:ヤカンP

ここ、なんだよなぁ。
ここに辿り着けるのが、春香Pなんだ。何度も、何度も見てきた、春香さんと春香Pの為の海。
ヤカンPがここへ到達した事に、心からの祝福と、ほんの少しの嫉妬を贈りたい。
このシリーズは半年前、つまり上半期に始まった、シンデレラガールズの手描きドキュメンタリー。
ですが、私がこの作品に出逢ったのは、実はこの最終話から、なんですよね。
自身ではプレイしていない事もあり、積極的に見ようとはしていなかったんですが、何故だろう、この最終話は気がついたら視聴していて。
そして、春香さんの笑顔と、ヤカンPのイケメンぶりにやられてしまいました。ヤカンなのにイケメンってどういうことなの?
で、第一話から一気に視聴し、すっかりヤカンPのファンになっちゃったワケです。参ったね。
シンデレラガールズのシステムを全く理解せず「キュート選んで普通に遊んでれば春香さんに出逢えるはず」と信じて始めたヤカンP。
無課金でこのゲームをプレイする事の現実が、容赦なく彼に襲いかかります。
それでも、運命の出会いの為に、信じた道を突っ走るヤカンP。

その過程で出逢ったアイドル達が、また脇役ながらいい味をだしていて、ヤカンPのアイドルに対する優しい姿勢がうかがえます。
BGMの選曲や場面転換のタイミング、シンプルながらも特徴を捉えた絵、そして画面構成。
全てが噛み合った最終話は、本当に素晴らしかった。思わず拍手をしたくなる様な、いい作品でした。
そして、この作品を見て、私は手を出すまいと、固く誓いました。その意味でも、ありがとう。
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13
雪歩が春香さんに漢詩を贈るようです

作:sinseiP

ド直球はるゆきktkr
……と、思いきや、何やら見慣れない記号と、難しげな専門書。
この動画を見るまで、漢詩の形式などは「五言絶句」「七言律詩」といった、教科書で教わったレベルの知識しかなく、そもそも
漢詩を創作するという発想自体がありませんでした。
いままで想像もしなかった世界を見せてくれたという意味で、この動画は私にとっての教養講座ですね。タグはついてませんが。
いずれ投稿されるという解説編には、間違いなくタグがつくでしょう。期待して待ちたいと思います。
さて、形式はどうあれ、詩を送るという行為は、古来よりの由緒正しい恋の作法で。
一見すると難しい事をやっている様に見えますが、これはつまりラヴレターを書いてる少女を覗き見してるという、実にけしからん場面なんですね。
詩を組み上げていく雪歩の表情は、まさに恋する少女そのもので、思わず2828してしまいます。

凝った言いまわしとかしたくなるよね。うんうん。で、あとで「伝わらなきゃ意味ないじゃん!」って頭を抱えると。
直接言うのは恥ずかしいから自分の得意なジャンルでアタックしたんだろうけれど、恋の駆け引きは難しいね、雪歩。
それにしても、「春香愛君」という文字列の美しさよ。見落としていた多くの素敵な事に気付かせてくれたこの動画に、この場を借りて感謝を。
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14
10年も20年も君の事を想うだろう

作:アンカーP
どこがどう、とかいう説明ができない、単純に恋しちゃう動画ってのは、誰にでもあるのではないでしょうか。
カズマさんの言葉を借りれば「魔法がかかった動画」とでもいうのかしら。
今期の私にとって、この動画はそんな存在でした。気がつけば再生していた、そんな感じ。

選曲の懐かしさはあるでしょう。前期のオペラPが見せてくれた透明感のある春香さん。それを他の形でも見る事ができた喜び、それもある。
でも、それだけじゃなく、なんか惹かれてしまうんですよね。

サビ部分で繰り返される「MySong」の振り付け、ここかなぁ。それはまるで、月日と共に折り重なっていく春香さんの想いを見る様で。
うーん、わからない。わからないけれど、好きなんです。それがわかれば、まぁいいかなと。そんな感じです。
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15
【ニコラップ】てってってー(MIC TEST)【社員No.080346】

作:社員No.080346氏

てってってすと まいくちぇくわんつー
アイドルにお手本 魅せてくらっぷ
in765事務所らいか宅録shit
営業でもレッスンでもマイク持つP
夜な夜な研究、IDOL VISION
YO!now!YO!now!
チャンス受かるオーディション
「ランクS」俺にとっちゃ楽勝なミッション
(でも)見えない努力なんて白鳥並み以上
てってってー!てってっててー!MIC!×3
――1番の歌詞を抜粋

かっけぇええええ!
大好きですコレ。実に痛快。元が中毒性の高い「town(てってってー)」、しかも巧いんだわ。
アイマス要素をうまいこと拾うラップ歌詞。アイマスが好きなんだという事がバッチリ伝わってきます。
そして、とても聞き易く、高感度の高いボイス。このPはティンとくるわ。
たまに挿入される春香さんと美希の声がまたクセになる。もっと聞かれて欲しいなぁ。
こういう方向性でアイマス2を遊ぶ事ができる、その才能に乾杯。そして、そんな人がプロデューサーになってくれた、その事に感謝。

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16
上書bebop

作:そふぁそぐ氏

あっ。この子知ってる!この変顔がやたらカワイイ女の子!
そして、その面影を残す、美しくなった少女を。彼女のどんな表情も慈しみ、輝かせることができた人のことを。
その人の動画がもつあたたかさを、私は知っています。

あの頃、僕たちが立っていた場所は、はるか遠くなってしまったけれど、今もあなたの律子はかわいい。
その事がたまらなく嬉しかった。本当に、嬉しかったんだ。
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17
アイドルマスター 美希 何度でも

作:誕生日P

この子の事を知らないアイマスファンが増えている。それはどうしようもない事実。
冗談半分にせよ、本田未央ちゃんを引き合いに出してみたりする、そんな場面が時折見られます。
アイマス2において、美希はその髪型を変える事はなく、アニマスでもフライング情報では「覚醒あるで」などと言われたものですが、
結局、髪の色を戻し短く切った美希が登場する事は、ありませんでした。回想の類もなし。
そんな状況を憂えたのか、あるいはもっと単純ならざる思いからか、この下半期、茶髪美希を見かける機会が、以前よりも増えた様に、
私には思えました。
「忘れない」という言葉、それは覚醒美希と呼ばれる彼女にとって、重い意味を持つキーワード。
その事を、改めて考えなくてはいけない時期が来ているのかもしれません。

美希はアイマスが変化する度、その影響を強く反映する設定を与えられ、彼女のファンを、彼女自身をも困惑させてきました。
その事に絶望した人もいる。私はそれを知っています。
でも、この誕生祭動画で、彼女自身が発した言葉。星井美希というキャラクターの核、変わることないモノ。

辛い未来があったっていい。
いつか明るい未来に変わるまで、何度だってやり直して、出会いなおす覚悟、あるんだから。
だからミキ、ずっと一緒にいたい!

この言葉を美希自身が、私が美希を知るずっと前に発していた事、そして、それを受け取り、寄り添い続けるプロデューサーがいる事。
それを知って、私は安心したのです。
ああ、余計なお世話だったな」って。
満たされた。そう感じました。ありがとう。
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18
アイドルマスター2 やよい スマイル体操

作:つばめP

向日葵娘、及び太陽娘のプロデュースが、私にはどう見えたか、というのは、先のVRLレビューにおいて書きました。
うん、ハッキリ言っちゃおう。つばめPがこの一年間で描ききった「太陽娘・高槻やよい」は、私の知るやよいではない。
私が考える「高槻やよい」は、この場所には立てないし、そもそも私が立たせない。
動画を作る、作らないでなく、やよいのプロデューサーとして、そこは譲れない。
それこそ私がつばめPを尊敬する所以です。

つばめPの動画を追いかける様になって、ある時期から感じていた「私とは違う」という感覚。
その違いに最初は戸惑い、ある時期には嫌悪を抱いた事もありました。そして今、私はつばめPを尊敬しています。
つばめPのやよい、つばめPだけが見せる事ができるやよいを、これほど眩い存在へと育て上げた、その強靭な意志を。
その仕事をリアルタイムで追う事ができた巡り合わせにも感謝しつつ、私は私のやよいを育てていきたい。
それが、つばめPの仕事に対する、私にできる事なのかなと、今はそう思っています。
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19
ジュピター vs ふろ

作:インドリのナ月氏
この動画、「吹いたら入浴」というタグがついてますね。
投稿されてから約2週間、この動画は、何人の視聴者を風呂へ送り込んだ事でしょう。
このタグつけたの、私です。ははは。いやー、だって笑うでしょ、これ。
私なんて、風呂の中でまで見ちゃって、更に笑っちゃったもの。

もうこの「OPEN」だけで笑っちゃうし、そもそも歌い出す前の環境音と冬馬だけでおかしいもの。

ぱちゃぱちゃすんな!なかよしさんめwww
いや、真面目な話をすると、この動画は本当に幸せに満ち溢れていて、とんでもなく素敵なクリスマスプレゼントですよ。
あったかい風呂と、口ずさむ歌と、わかりあえる仲間。その全てが揃う空間。なんと素晴らしい!
1フレーズ歌い終えた後の微妙な間、誰も何も言わなくても、同時に歌い出すところなんて、感涙モノですよ。
いや、それは言い過ぎかも。というか、ホント歌うまいよね、3人とも。
そろそろ新曲こないかなー。
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20
ゆきぽsign

作:SAId氏
2011年の事です。
砂の惑星」視聴後のメモに、当時の私は、こう書いています。
「雪歩はサターンV」

それ以来、私は氏の作品における雪歩を見てきたワケですが、今回の誕生祭動画で「ああやっぱり」と再認識しました。
氏は雪歩に、ロケットのイメージを重ねているんだな、と。
それは技術と、欲望と、意志の結晶であり、どこまでも上昇し、届かないものに手を伸ばす姿の象徴であり、人間が持つ力、そのもの。
氏は雪歩に、そんな力を見ているのだろうと。
そして、そんな雪歩の事が、とてもとても愛しいのだろうと。

胸が高鳴るほどの、たまらない高揚感。雪歩と出逢えた事を喜び、その煌きを浴び、彼女を祝福する空気に満ちた映像美。
極上の誕生祭動画でした。
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以上、全20+1作品、これが私の選ぶ2012年下半期20選です。
先の半年も色々ありました。これからも色々あるでしょう。
できるならば、また半年後、みんなで楽しく在れますように。