「すごろくさん」に「天海春香」について訊いてみた!・回答編2-3

ニコマスブログ「すごろく迷走格納庫 (調整中)管理人のVinegar56%さんに、アイマスのキャラクター
天海春香」についてきいてみよう!
という企画の、第5回。今回が最終回となります。
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これってどんな企画なの、どんなお話をするの? という方は、先に初回の記事
「すごろくさん」に「天海春香」について訊いてみた!・自己紹介&質問編を、
ここまでどんな事を訊いてきたの?という方は、第2回の記事
「すごろくさん」に「天海春香」について訊いてみた!・回答編1を、
今は何について訊いているの?という方は
「すごろくさん」に「天海春香」について訊いてみた!・回答編2-1
「すごろくさん」に「天海春香」について訊いてみた!・回答編2-2
をご覧ください。
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前回、これまで見てきた中で「ぞっとする」「恐ろしい」と感じた動画とその作者について考え続け、彼等を理解できたと感じられる場所に至ったVinegar56%さん。
今回は、それとはまた違う、春香動画の持つもうひとつの側面について、お話しいただきます。
ちなみに記事では数回に分けていますが、チャット時はノンストップ。
あれですね、こういう時は聞き役が休憩を提案するべきなんですけど、そんな余裕もありませんでした。寒い日だったけど、手汗とかすごかった。
Vinegar56%さんの言葉を、なんとか受け取ろうと奮闘する箱外の姿を、生温かく見守っていただければ幸いです。
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ああ、地獄の門に比べ、
ここ煉獄の入り口はなんという違いだろう!
地獄へは恐ろしい叫びとともに入ったが
ここでは、歌声とともに入るのだ。
―ダンテ・アリギエーリ「神曲」煉獄篇第12歌より

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sugoroku:これを考えるには、では、私が抵抗なく真っ先に好きになったものはなんだったか、を考えなくてはなりません。
sugoroku:ぽりぺくんPの『THE iDOLM@STER アイドルマスター 天海春香 太陽のジェラシー M@STERVERSION』http://www.nicovideo.jp/watch/sm124373
sugoroku:そして『アイドルマスター YOURSONGより 天海春香 大スキ! PVバージョン』http://www.nicovideo.jp/watch/sm42330
sugoroku:私が最初に見た、最初に好きになった春香のPVです。
sugoroku:つまりこれが、私のイメージする”アイマスの、本物の春香”の原点なんです。
sugoroku:同時に、私が理想とする”春香の歌声”の原点でもある。

K_1155:これはコラボPVも含めたお話ですよね。
sugoroku:はい。
K_1155:了解です。

ぽりぺくんP THE iDOLM@STER アイドルマスター 天海春香 太陽のジェラシー M@STERVERSION

ぽりぺくんP アイドルマスター YOURSONGより 天海春香 大スキ! PVバージョン

ぽりぺくんPは2007年03月〜06月に活動されていたニコマス最初期のPVP
現存する動画数は9作。そのほとんどを春香と律子が占める。
ニコマス黎明期のふたりのポジションを考えると、動画にこめられた優しさに胸があたたかくなる気がします。

sugoroku:この歌唱自体が理想なわけではありません。
sugoroku:ただ、私のイメージする理想の春香の歌唱があるとすれば、それはこれの発展系、これの延長上にある。
sugoroku:別に難しい歌、いろんなジャンルの歌を歌いこなしてくれなくていいんです。あざといくらいの可愛さも、大人の雰囲気も、その他もろもろ多様な表現も、できなくてかまわない。
sugoroku:ただ、この『太陽のジェラシー』という歌を、ただただ自然に伸びやかに歌えるようになってほしい。
sugoroku:ま、中村繪里子さんは、今のところそっちには行っていないんですが。
sugoroku:脱線すれば、MA2のジェラシーは、私の理想からは無印MAよりも遠ざかっている。

K_1155:ああ……それはねぇ。
sugoroku:断っておきますが、私は中村繪里子さんの声が大好きです。世界で一番好きな声です。
sugoroku:中村さんの出した声であれば、どんなものでも好きです。

K_1155:はい。
sugoroku:が、それはそれとして。
sugoroku:中村繪里子さんが出した声なら全部、私にとって理想の春香の声になるわけではない。

まさきP 【MA2FS01販促】新旧太陽のジェラシー比較してみた【音ズレ修正+α】

MASTERARTIST2 というCDは、その発売時期、収録曲、トーク内容など、聞き手にとっていろいろと「揺らぎ」のあるシリーズという印象があります。
置きどころが難しい、というか。内容自体はいいものなのですが。
やよいもねー。うむぅ……いや、関係ないですね。
それにしても、Vinegar56%さんからこれほどド直球の告白を聞く事になるとは。別に私が言われてるわけじゃないのに、勝手にドキドキしてました。ははは。

K_1155:太陽のジェラシーはねぇ。「そっともぐる」からの「ドゥームですよ!ドゥーム!」のイメージがw

sugoroku:www
K_1155:わかってくれてよかったw

怒首領蜂P アイドルマスター 春香Aランクアップイベント的ななにか

……いやほら、ちょっと気分転換的なアレをね。
ちなみに、私が楽曲としての「太陽のジェラシー」を真面目に聞く様になったのは、以前にも話題にした「クラブナイト」からでした。
THE iDOLM@STER ClubNights 19:00

ああ、こういう歌声なんだ。こういう曲なんだ、と、初めて向き合わせてくれた気がしましたね。感謝。

sugoroku:話を戻すと、ぽりぺくんPの動画のステージもまた、私がイメージする理想のアイドル春香の姿そのものでした。
sugoroku:平凡な制服を来た可愛く女の子が、ただただ楽しそうに動いているだけ。なにしろ07年3月、4月の動画ですからね。演出に特別なものがないのはもちろん、画質は大したことないし、後のダンスMADの基準からしたら、シンクロも大したことはない。
sugoroku:でもね、それでいいんです。そこがいいんです。それでないとダメなんです。
sugoroku:たとえば、ニコマスの中で、春香の「大スキ」を代表するMADと言えば、佐野倉Pの動画が筆頭でしょう。もう、消えてしまいましたが。

K_1155:ええ。
sugoroku:でも、私にとっては、春香の「大スキ」を表現するのに、佐野倉Pの動画ではダメなんですよ。
sugoroku:なぜなら第一に、あれは衣装がDa衣装だった! ぽりぺくんPの動画みたいに、普通の女の子が普通に着ていて普通に可愛い服じゃない!
sugoroku:第二に、あの動画はダンスが凄い! 
sugoroku:それではダメなんです。佐野倉Pの「大スキ」を視聴して残るのは、音楽とシンクロしている動きの凄みです。それをやってのけているパフォーマーの身体の凄みです。
sugoroku:私が見たい「大スキ」はそれじゃない。ただ、春香さんが楽しそうに歌って動いているだけの風景です。

K_1155:求める主題が違う?
sugoroku:私にとっては、違う。

佐野倉P アイドルマスター 『大スキ!』 天海春香

佐野倉Pは2007年09月から活動されていた動画製作者。現在は合作以外の全動画が投稿者により削除されている。
ここでのVinegar56%さんの発言を補足しておくと、これは決して動画としての優劣をつけているわけではありません。
氏にとって、どちらが好きかという、理性ではどうしようもない領域でのお話し。
ここでの「春香さんが楽しそうに歌って動いているだけの風景」という表現がね。ああ、いいなあと思うんですよ。
氏は意識してのことか、それとも無意識になのか、この対談中天海春香というキャラクターを「春香」と「春香さん」の2通りで呼んでいます。
純粋にファンとして、モニタ上で楽しそうな姿を愛でる場面には、やはり「春香さん」という呼称こそ似合う気がしますね。

sugoroku:つまりね、一番最初の私はニコマスPVを見るのに、演出、エフェクトはおろか、シンクロすら求めていないんですね。
sugoroku:そうなると、ようするに、ニコマスのほとんどの動画は、私が求めていることとズレたことをやっていることになりますw。
sugoroku:私が次に好きになったPVは、こんにゃくPの『アイドルマスター 春香さんが衣装で悩んでるそうです。』です。
sugoroku:最初に好きになったコラボPV、ですね。

K_1155:はい。
sugoroku:これもね、ようするに、ただただ動画の中の春香が可愛い動画の代表格でしょう。
sugoroku:そういうものしか見ようとしていなかった。

K_1155:本物の春香、ですか
sugoroku:うん。
sugoroku:そして、ななななな〜Pの『ヤッホー!』。コミュあり、ストーリー要素ありの初めての動画です。

sugoroku:これもね、なPって、シンクロとか、カメラワークとか、大したことはやっていない、って言っていいかどうか、動画を見返せないから保証はないけどw。
sugoroku:映像的には、ノーマルPVの、それも07年から08年初頭のそれほど画質のグレードが高くない映像を、そのまま使っているに過ぎない。
sugoroku:だからこそすんなり受け入れられた。映像的にもっといろいろ工夫があったら、もっと春香さんが美麗だったら、そうはならなかった。

こんにゃくP アイドルマスター 春香さんが衣装で悩んでるそうです。

ななななな〜P アイドルマスター 天海春香 ヤッホー!

こんにゃくPは2007年04月から活動中の動画製作者。Kaku-tail7にも参加しておられましたね。喜ばしい事です。

K_1155:私は、あの人(ななななな〜P)の動画群はこうだった、と仮にでも論ぜられるほど見る事ができていないのです。回数とかでなく、はっきりとこれ、と自分の中に残せるような見方ができなかった
K_1155:もう、どうしようもない事なのだけど。何度も見たし、知ってるかと言われれば知っているのだけれど、それ以上の事が言えない。悔しい。

これはね。
本当にどうしようもないことだし、ここでVinegar56%さんにこぼしてどうすんだよ、って話でもありますが。
それなりの期間にわたってニコマスと共に過ごし、それについて少しでも書こう、記録しておこうと志して、私はこの場に居させていただいている。
でも、それができないまま、気付いた時には永遠に手が届かなくなっている。そんな事が本当に多くて。
ななななな〜Pについては、私は何も出来なくて、今もなお胸を張って「好きだ」と言えるVinegar56%さんが、本当に眩しく見えて。
それだけ。

sugoroku:ななななな〜Pの動画についてはね、彼の動画の距離感が、私に一番ぴったりくる距離感なんだ、としか言いようがありません。
sugoroku:もっと愛を叫んでもだめです。もっと捻じくれてはだめです。もっとこれでもかとコミュから引き出した情報を詰め込んでもだめです。
sugoroku:うん、これはね、後から他の動画を見て、そうなんだと気づいただけで、この人の動画は最初からしっくりはまったんだ、としか言いようがありません。
sugoroku:そういう、しっくりはまる、はじめから違和感なく見られる動画の中の春香が、私がそうあってほしいそのものの春香だった。

K_1155:はい。
sugoroku:「かけがえないものへ「ヤッホー!」」この元気 届けたい いつかも一度会えたら きっと言葉はいらないね
sugoroku:この動画の春香には、常に希望があり、プロデューサーとの間の信頼がある。
sugoroku:さっき言った、こういうものを憎んでいた、という要素の反対ですね。

ほら。こうして自然に口ずさめるんですよ、この人は。
ブログ記事がそうであるように、動画上のコメントがそうであるように、自分にとって大切な動画もまた、氏の中で息づいている。
でもね、きっと、この1フレーズを書きこんだ時、氏は身体の一部を引きはがされるような痛みを覚えたんじゃないかしら。
それは傷口に爪を立てる様な行為だから。
それはそれとして、Vinegar56%さんが自然に受け入れる事ができた「本物の春香」の姿というものが、ここではっきりと規定されました。
「常に希望があり、プロデューサーとの間の信頼がある」春香が「楽しそうに歌って動いているだけの」動画。
それが今、いかに貴重であるか。考えてしまいます。

sugoroku:今述べてきた、ぽりぺくんP、こんにゃくP、ななななな〜Pの動画が、私のイメージする春香動画の原点です。
sugoroku:そうするとね、一番最初に話していた、ステージ上でコミュとはかけ離れた存在になる春香、さまざまな美を表せる春香って、この中に全然出てきていないわけですよ。

K_1155:そうですね。非常にありのままというか、そこにあるものそのものが愛おしいという。
sugoroku:まあしかし、同時に私はRidgerPの『春香覚醒カタルシス』も最初期から好きだったので、それ以外のものを好きになる素地はあった。あったが、基本的にはそういうことになります。

sugoroku:けれども、そうして、とても狭い範囲の動画を、春香の魅力を体現した動画だと信じ、それ以外を受け付けずに生きてきて、ある時思うわけですよ。
sugoroku:あれ、世の中って、私が知っているよりたくさん、春香動画があるんじゃね?
sugoroku:自分ではもういっぱしに、春香さんを好きなことでは誰にも負けたくない、というようなことを思っているのに、あれも知りませんこれも知りませんでいいのだろうか。

K_1155:それらひとつひとつに、そこにいる春香さんを好きな人がいる。
sugoroku:うん、そういう話になります。

RidgerP アイドルマスター 春香覚醒カタルシス(ALI PROJECT)

(2012/02/10権利者削除)
いわゆる「春閣下」であるところの「春香覚醒カタルシス」。
この動画を初期から受け入れていたというのは、ここまでの流れからすると少し驚きではありますが、それをさせてしまう動画そのものの説得力といいますか、
映像作品としての凄みですかね。
……いや、そろそろいいか。
今回の対談では言及がなかったんですが、氏の春香観に間違いなく影響を与えた動画がひとつあって、そこにこの「春香覚醒カタルシス」も登場する。
ぶっちゃけてしまえば、そういう事だったのだと思います。
gouzouP アイドルマスター 春香の魅力を紹介するZE☆(初心者向け)

sugoroku:どういう調べ方をしたのか忘れたけれど、この世界ではどんな人が名うての春香Pとして知られているのか、と、ある時調べてみたんですね。
sugoroku:ここももう、記憶があやふやなんだけど。
sugoroku:細かい事実関係はもう怪しいけれど、私の中でセットになって記憶されているのは、KenjoP、museP、OGOP、ヨルPという名前です。
sugoroku:あの人たちこそが春香Pだよ、と世評のある存在として、名前から先にそれらのPを知った。

K_1155:先のturn-Kさんの生放送に3者が揃っていたという事に凄まじい政治力を感じる
sugoroku:www
sugoroku:記憶の中ではセットなんだけど、実はここにヨルPが入っているのが、時系列的にちょっとおかしい感じが自分でする。でも、誰にも答えを確かめようのないことだから、深く考えずに進む。

ここから、また別系列の春香動画へと話が進みます。
アイマス動画を探すにあたっては、みてれぅ等のポータルサイトを用いるか、紹介ブログを辿るか、生放送に張り付くか。
どの手法でも、動画本体以前にP名に辿り着くというのは珍しいのでは。当時はtwitterでの情報交換は盛んではなかったでしょうし。
氏の傾向からして、ありそうなのはブログでの春香P特集記事でしょうか。誕生祭あたりの。

turn-Kさんは広告主、あるいは生放送主として知られていますが、それ以前に春香派のアイマスファンでありまして。
いつだったか、「視聴したアイマスMADは全部持ってるよ」みたいなことをさらっと言っておられましたね。なにそれこわい。

sugoroku:で、それらのPの動画を見てみたわけですが。
K_1155:春香動画を追いかけていけばぶつからないわけが無い名前だけど、動画より先に制作者の名前が出てくるというのは面白い巡り合わせだ。
sugoroku:最初はね、全部が全部、どのPの動画も、違和感しかなかったわけですよ。 だって、ぽりぺくんPやななななな〜Pの動画の中の春香と違う!(笑)
K_1155:ですよねーw
sugoroku:たとえば、musePはよく、「素の春香」を見せたい、ということを書かれます。
sugoroku:実際、musePの動画って、ダンスの中で一瞬だけ生じる春香さんのものすごく柔らかい表情を、意識的に捕らえてよく見えるようにしてあるんですね。
sugoroku:でもね、私からすると、もうその時点で違う! となるわけです(笑)

K_1155:それは意図的なモノだから。作者のベクトルを感じるから
sugoroku:うん。「素の春香」を意識的に見せる、という作為が入っている、という時点でもう違う。
sugoroku:更に言えば、おそらくmusePの動画で初めて見たラフタイムスクールが、また違和感がある。え、こんなに清潔感があってさわやかでいいんだろうか。これほんとに春香さん?
sugoroku:musePですらかくのごとし。ましてやOGOP、ヨルPにおいておや。ラフタイムスクールですらかくのごとし。ましてやパンゴシやライブフォーヴィーナスやその他もろもろにおいてをや。

museP 【im@sMSC3参加作】アイドルマスター 春香 『Be Myself』 丹下桜

musePの目指す「素の春香」というのは、前段で話題となった
「黒春香」や「白春香」、あるいは「哀春香」などの属性付けを排した可愛らしさ。
であるのだけれど、そうして作られたはずの動画に共通して「ステレート」というタグがついているという事実が、ここでのVinegar56%さんの言葉を裏付けているかな。
まぁ、ラフタイムスクールに関する印象は、完全に氏の好みですけどね。それなら私はセーラー服のが好きだし。
ヨルP アイドルマスター春香×DOPING PANDA「Everything under the sun」

「その他もろもろ」にはギターも含まれるでしょう、きっと。
ヨルPはね。私は今でもわからないんだ。何故この人の見せる春香さんが、私の心を撃ち抜いたのか。
あの日、あの光の中に居る春香さんを見た時に、魔法にかけられてしまったんだと。
それ以外に説明のしようがないんだな。

sugoroku:比較的すんなり行ったのはKenjoPですね。
sugoroku:「じっくり語り語られてみよう」の、musePの動画についての、RDG氏の記事なんですが。http://rdg.blog118.fc2.com/blog-entry-856.html
sugoroku:誰に春香の魅力を伝えるのか、という話。
sugoroku:①春香の魅力を既に知っている人②春香は知ってるけど,そこまで魅力を知っているわけではない人③春香をあまり知らない人
sugoroku:という整理が出てくる。
sugoroku:たぶんね、そこの②、③の力がとてもあるのが、KenjoPの動画なんですね。すぐに凄い、面白いとわかって、それがそのまま春香って子は素敵だね、につながる。私だけでなく、多くの人にとってそうだっただろうと思います。
sugoroku:しかしながら、museP、わからない! OGOP、わからない!
sugoroku:でも、そこで終わったら悔しいでしょう。自分こそ春香が好きだと思っているのに、周りの人がこんなにmusePの春香素敵だね、OGOPの春香凄いね、といってるその素晴らしさを自分だけ理解できていないわけですよ。

K_1155:①の厄介さよ。
K_1155:あ、今のは自分に向けたつぶやきです。無視していただいて結構/うん。
sugoroku:これも春香さんなのか、これが素晴らしいのか、と思って見続けているうちに、
sugoroku:いつのまにか好きになっていたんですね。どういうこっちゃ。

K_1155:なんかどっかで聞いた様な話だけど。
sugoroku:うん、聞いたことがあるね。
sugoroku:これはね、一度好きになってしまうと、なんであんなに違和感があったのか、なんでそれがなくなってしまったのか、自分でももうわからない。

「わからないものをわかろうと見続けていたら、好きになっていた」
ζ*'ヮ')ζ人(のヮの
ホント、アイマスって怖いですね。
ここで言及されている「じっくり語り語られてみよう」というのは、指定動画について、規定のテーマを押えつつ、自分なりの解釈、思い入れを語ろうという
合同レビュー企画。RDGさん(爽快P)の記事はその企画参加時のものです。
現在の「このノベマスを見ろ!」や「Nicom@s Review」の原型と言えるかもしれません。
KenjoP アイドルマスター 春香 「Kitchen Venus」

KenjoPはね。実は私、苦手だったんだ。仰る通り、今となっては信じられないことだけど。
それはきっと、Vinegar56%さんがやよい動画に対して、初期に抱いていた感覚と似ていたんだと思う。

sugoroku:手描き動画なんかでもそうですね。
sugoroku:最初は、なんでこの人は春香さんをこんな形に描くんだろう、これのどこが春香さんなんだろう、なんで世の中の人はこれを春香だと認識しているんだろう。

K_1155:今までの流れで行くと、手描きというのはすごろくさんの「好き」からは相当に遠い位置にありますよね。
sugoroku:そう、もの凄く遠い。
sugoroku:ノベマスでどんな性格に春香を描こうが、PVでどんな風に春香を見せようが、その姿形は間違いなく春香です。それは疑いようがない。
sugoroku:でも、手描き動画にはそれがない。そこにあるものを私が春香だと信じていい根拠はどこにもない。
sugoroku:そう思って見ているうちに、ああ、この人にとってはこれが春香なんだ、これも春香なんだ、いや、これこそが春香なんだ、と思えてきた。
sugoroku:その一番最初は、OGOPが描いた春香であり、サイレントPが描いた春香でした。

OGOPアイドルマスター 春香へ「Baby I Love You」

OGOPに関しては、どうなんだろう。
前段で話した「ぞっとする春香」と、ここで話してきた「色づけされた春香」、どちらにも近い様な気がする。
のみならず、どちらの色も尋常ならざる濃さを持っていて、無視できない力がある。
そうした春香が入り口になるというのは、ここまで氏のお話を聞いてきた身としては、実にしっくりくる展開でしたね。
サイレントPも、また。

sugoroku:結論。
K_1155:はい。
sugoroku:考えてみると、この世にあったほとんど全ての春香動画って、一番最初は私にとってわからないもの、受け入れがたいものだったんですね。
sugoroku:でも、知りたいと思って見ていたら、だいたいみんな、好きになった。
sugoroku:で、好きになってみると、理解しがたいと思っていたPたちの中にも、私自身と似たところがあるのに気づくんですよ。
sugoroku:ま、もちろん違うところもたくさんあって、まったく私と同じって人はいないんですが。

K_1155:ええ。それはそうですね。でも、どこか触れあってると感じられるものがあると
sugoroku:そういうわけで、今となっては、およそ春香が好きな人のやることであれば、どこかに私に理解できるところがある筈だ、という逆の思い込みがある。
K_1155:以前にここでお話しした時に、それをお聞きしました。
sugoroku:そうそう。
sugoroku:全部がわからない、恐ろしいというところから始まって、わからないものがいつの間にか少しずつ好きなものになったところに、今の私がいる、と。

無印の春香さんについて考える旅は、とうとう現在の位置に戻ってきました。
もちろん、今回Vinegar56%さんが私に見せてくれたものは、チャットという形式と、聞き手である私に合わせて調整されたもの。
氏の中には、今回は表に出てくる事の無かった多くの動画、多くの言葉、多くの想いがあることでしょう。
それを無視して、今回の対談で氏の立ち位置を理解した、同じ視点を得たという事は、私にはできません。
今でも私は春香派の見ているもの、伝えようとする事を「わかるわ」とは言えない。
でも、こうして長い時間をかけて互いの言葉を訊き、自分の言葉を届ける事で、ほんの少し近づけた。そんな気はしています。

sugoroku:では、2の春香さんについてはどうなんだろう。
sugoroku:うん、ここからは、自分でもあんまり結論は出ていないw。

K_1155:ええ。……うん、なんとなく、ここまでの思考が必要だった事はわかりましたよw
sugoroku:物語的には、あるいは動画を作っているPと春香との関係においては。
sugoroku:新しいと思えること、知らなかったと思えること、わからないと思えることがなかなか見出だしづらくなっている、というのはある。
sugoroku:動画の問題ではなくて、私の感受性の問題。

K_1155:感受性、とは少し違う気はしますがね……
sugoroku:何を見ても、いやあ、あの時あのPがやったことに比べれば……という、いわゆる老害的な心理ですねw。
sugoroku:じゃあ、感度、と言い換えるかな。
sugoroku:だって、ここでそれを動画のせいにしたらまずいでしょうw。

K_1155:うん。そうなんですけどねw鈍化しているのとは何かが違う気がするんですよ。全く説明できないんだけど
sugoroku:うん、自分でもはっきりとはわからないw。

何度か繰り返されてきた、動画を見る者としての感覚的なやり取り。さすがに両者とも、掘り下げる気力が残ってないのがよくわかる。
私としては、動画を視聴するという行為は能動的なものなんですね。だから感受性という受動的な表現はフィットしないのかもしれない。
そうして目に映る動画に、新しさを見出しづらくなっているか、という事に関しては、これは認めざるを得ない。
映像の先鋭化、表現の過激さが増す傾向にあった09年〜10年、アイマス2を活かす為の模索が行われた11年、アニマスによる強烈なバイアスが加えられた12年を経験した私達が、
なお新しさを求めるのは、非常に困難になっているのは間違いないと思われます。それは作り手と見る者、どちらにとっても。

sugoroku:もうひとつは、到達点のイメージ、ですかね。
sugoroku:16歳の春香さんについては、今ある春香動画が春香さんの全てを表現しきっていなくて、これからもっと極まった動画が出てくるとしても、その極まりを、今ある動画の先に思い描けるんです。
sugoroku:たとえば、ヨルPがギターを背負ったゴシックな春香さんを踊らせたそのステージの先に、わるつPが遠い遠いステージで白くきらめく春香さんを踊らせたその先に、OGOPが連れて行った海のその先に。
sugoroku:もっと遠い、もっと広い、もっと極まった、まだだれも辿り着いていないステージが存在するかもしれない。

K_1155:ええ。可能性としてね。
sugoroku:では、2の春香さんは、どこを目指していくんだろう。
sugoroku:どういうステージなり世界なりが、2の春香さんの究極に近い場所だということになるのだろう。
sugoroku:そこのイメージが、動画を見ていても私の中で形成されない。
sugoroku:個々の動画としてはね、たとえば浅葱Pの動画や218Pの動画が、私にとって無印の春香で表現された動画と同等に大切なものとして存在するんだけど。

K_1155:動画に表れる以上の広がりが想像できない?
sugoroku:そういうことかもしれない。>動画に表れる以上の広がりが想像できない?
sugoroku:たとえばそういうイメージが私の中にひとつでも出来たときが、2の春香もまた私にとって恐ろしい、という時になるのかな。

K_1155:ふむふむ。

わるつP アイドルマスター 空気力学春香サンと少年の詩

The iDOL Aloft
私がニコマスにいるのは、私が出会うべきひとつの動画と出会わんがためであって、それ以外はおまけのようなものであり、その過程はどうであってもよく、それを見出だす文脈は私の中に在ればよく。
ただ、私にその出会いの瞬間を見失わぬ心が在り、そこにあるべき動画が在ればよい。
その瞬間こそが、私にとっての永遠である。
今日、私はまたそういう出会いをひとつ、ここで得た。
ただ、それだけのことです。

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ヨルP 春香 一人舞台

sm9888333
この動画は、動画の中の世界だけを見れば純粋に一個の到達点ですが、一歩外に目を向ければ、激しい風が逆巻く世界に存在しています。
そこには確かに、伝説と称したくなるほどにこの春香さんとプロデューサーに魅かれた人たちが居て、アイドルとプロデューサーとファンのもっとも幸福な関係が存在するでしょう。
そして、しかしそれは、深い深い嫌悪と妄執と軋轢の渦巻きと表裏一体なのです。
そこになお、春香を立たせる、春香が立っている、ということ。

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浅葱P 【アイドルマスター】おなじ話【春香】

ちがう、話
歌から言葉を選んだことによって、ニコマス動画というまったく異質な表現とのマッチアップによって、そして春香というアイドルの力によって、歌の秘めていた世界を、可能性を、大きく展開してみせた。歌だけでも、アイドルだけでも到達できない景色がそこにある。
それがMADというものの力であり、アイドルと歌を結びあわせることの意味なのだと思う。

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218P BAD AGAIN 〜美しき反逆〜

※直接の言及は見つからなかったが、この動画が氏のリストHarukaーBase(PV系)に入っている、それだけで答えとしては充分だと思う。

sugoroku:あとは、葛藤。
sugoroku:「黒」と「白」が対立した意義、を形を変えて認めるようなことになるわけだけど。
sugoroku:自分自身がものすごく葛藤し、憎悪し、困惑せざるをえないことがたくさんあったからこそ、それを超えて届いてきたものが、この上なく大切なものなったんだろう、と。
sugoroku:そして、それと同じように、春香動画を作っている人たちも、それぞれ巨大な葛藤と戦っているんだ、と。

K_1155:自分を揺るがしたものに対する敬意、ですかね
sugoroku:うん。
sugoroku:今の私自身からは、そういうかつての葛藤や憎悪は薄れているから、今春香で表現している人たちの問題意識に対してヴィヴィッドに反応できないところがあるのかもしれない。
sugoroku:薄れるというか、自分の中で解決して満足しちゃってるのかな。
sugoroku:もっと見たい、という気持ち自体は変わっていないんだけど。

K_1155:うん。
sugoroku:とりとめも結論もないんですが、16歳の春香さんと17歳の春香さんの違いについて私に言えることは、こんなところです。
sugoroku:こう、自分ひとりでやっておくべきだったことをK_1155さんに向かって吐き出した感がある

K_1155:ありがとうございます。とてもなんというかこう、自分の中で反響する部分の多い言葉でした
K_1155:そういう類の事柄を 話していただけたというのは、いや、その気がなくとも、きっかけになれたというのは、私にとってはとても嬉しい事です
sugoroku:うん、こちらとしても、話せたことはとても有り難かったんだけど、こんなものを他人にまとめてもらってしまっていいのだろうか、というw
K_1155:難しいね。言語化する事で零れ落ちてしまうと言いつつ、あやふやなままではいられないという。

アイマス2に対する葛藤。17歳の春香を「これは春香だ」と認めるのか、という話。
2が出る日まで
今回の対談の後半部、その主題はこの記事に書かれている事と非常に近いものですが、しかしながら、約2年という時間の経過と、
その中でニコマスを、春香を見続けてきたVinegar56%さんの営みによって、ある部分は解消し、別の部分についてはより深化していると言えるでしょう。
結局のところ、私達はアイマスについて、アイドルについて、ニコマスPについて考えるのをやめる事はできないってことですね。
きっと、ニコマスという場所自体が消滅しても、あるいは自分がニコマスから去る日が来ても、私達の中に溶け込んだものから逃れる事はできないと思います。
実に度し難く、恐ろしい話ではありますが。

sugoroku:さっきの話について言えば、なんだかんだ言いつつ、私は2が出てからもずっと、気がつく限りの新しい春香動画は見て幸せになっているので、ということは断っておかなければならないw。
sugoroku:それでは、これまでの話で何か、補足すること、質問しておくことがあれば。

K_1155:そうですね。2の動画が閉じている(乱暴な言いかたなのは承知)という部分で、やはりそこには、無印と2の関係というものは、完全に個人の領域になっているのだな、と再確認できた、とか。
sugoroku:ああ。
K_1155:私がもにょってる部分ですよ!w
sugoroku:誰もを満足させる解、というのは描きえないでしょうね。
sugoroku:でも、作った人が満足できて、自分も認められる解は、ある。
sugoroku:いろんな形をしたそういうものが、どんどん生まれていけばいいんじゃないかな。

K_1155:うん。その部分を信じたいです。

アイマスというコンテンツの成長と分化によって、それを楽しむ人達の道も分かたれ、それぞれがそれぞれのアイマスと向き合っている。
完全な共有、一体感を得られる時期は過ぎてしまっているのかもしれない。
とは言っても、なんでそんな事を考え、ぐだぐだと悩みつつここに居るのかと言えば、そりゃ楽しいからだし、明日もきっと楽しい事があると信じてるから。
今回のお話で最後に確認できたのは、そんな当たり前の事でした。
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私からの第三問については、双方心身ともに限界を超えていた為にパス。
天国篇=リボン解説編は、いずれ別の場所で見る機会がある事でしょう。楽しみにしています。
さて、結びとして、今回Vinegar56%さんとお話しさせていただいて、私が何を得たかという事を、少し。
春香さんについての知識であったり、氏の春香動画とその制作者に対する真剣さ、覚悟とでもいうものに触れた事であったり、それはもちろんなのですが。
私は何より、自分が好きなものについてこんなにも話せるという事、それを受け止めてくれる人がいるという事、そしてその人もまた同じものを見、
同じものを別の形で愛し、自分に対してこんなにも話してくれるのだという事が嬉しかった。
そして、伝えるという事の大切さを、改めて確認できた。
本編終了後の雑談にて、私はVinegar56%さんから、ある人のツイートについて聞く事ができました。
ほんの一言、その人が呟いたその言葉で、私は背負っていたものの一部が溶けていくのを感じたのです。
言葉は、扱うのが難しい道具です。不用意に叩きつければ、人の心を容易く壊してしまう。どんなに届けようとしても、伝わらない事もある。
それでも、私はまだ言葉の力を信じる事ができています。今回の対談で、その気持ちを新たに出来ました。
初めての試みに私を選んでいただいた事、不躾な質問に真摯に応えていただいた事、長期、長時間にわたりお付き合いいただいた事、改めてVinegar56%さんに御礼申し上げます。
本当に、ありがとうございました。
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いまよりは自身の喜びをこそ導きとし給え、
険しい道を抜け、狭い道を離れたのだから。
顔をまっすぐに照らす太陽を見よ、
大地に自ずから生じる若草や木々を見よ。
お前の為に涙を流し、私をお前のもとへ遣わしたひとの
美しい目と、喜びと共に出逢う時まで
お前は、座っていてもよいし、歩いていてもよい。
お前の自由意志は正しく、また健やかなのであるから
―ダンテ・アリギエーリ「神曲」煉獄篇第27歌より


春香さんはかわいい!