突発企画!「すごろくさん」が「高槻やよい」について訊いてきた

はい、箱外でございます。
世間のあれやこれやから完全に乗り遅れつつ、何をやっていたのかといいますと、こんなことをやってました。
突発企画! 「箱外さん」に「高槻やよい」について訊いてみた ⑴質問編
突発企画! 「箱外さん」に「高槻やよい」について訊いてみた ⑵自己紹介編 & 回答編1
突発企画! 「箱外さん」に「高槻やよい」について訊いてみた ⑶回答編2
突発企画! 「箱外さん」に「高槻やよい」について訊いてみた ⑷対談完結編
ニコマスブログ「すごろく迷走格納庫 (調整中)」管理人のVinegar56%さんからのお誘いで、
アイマスのキャラクター「高槻やよい」についてお話を聞いてもらおう!という企画。
ニコマスPとしての表現経験は皆無の私が、どこまで氏の御期待にこたえられるか、甚だ不安ではあったのですが、
企画初のゲストという名誉を授かった以上、全力で臨ませていただきました。
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で、その結果は、といいますと、御覧のあり様で。
あまりにも時間配分を考えずに喋りまくった結果、一日で済ます予定が二日間に延長、しかも第3問は未回答という体たらく!
ホスト役のVinegar56%さんには本当に長時間お付き合いいただき、感謝の言葉もありません。
第3問についても改めて場を設けて、といきたいところでしたが、さすがにお互いの時間をこれ以上使うのはよろしくない、という双方の判断から、
最後の質問は拙ブログにて回答させていただくこととなりました。
(ふたりとも大量の積み動画から目を逸らしつつの企画でしたので)
もしよろしければ、Vinegar56%さんのブログ記事と併せてお楽しみください。
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問3: SPのやよいシナリオの特徴ってなんだろう? (+ひょっとすると、SP以外の話も?)
実は私、この質問の意味を取り違えておりまして。

sugoroku: ちなみに、私の最後の質問、SPで春香の後にやよいストーリープロデュースをやっていて、すごく特徴的なストーリーだな、と思ったのだけれども、じゃあどう特徴的なのかどうも整理できない、まだ消化できていない感じがする、という、きっかけはそれだけで。
sugoroku: ただ、K_1155さんがSPのやよいを特別視しているというわけでなければ、SPと話を限定することもないか、ということで、考えやすいところを考えていただければと。

Vinegar56%さんがお話ししたこの部分、氏がSPのやよいについて特別と感じている、と明言しておられるのに、私は後半の
「限定することもないか」の方に意識を持っていかれてしまい、かなり的外れな回答を用意してたんですね。
なので今回、Vinegar56%さんがご自身のブログで考えを公開された時「あぶねええええ」と1人青ざめておりました。
ははは。いや笑いごとではない。
そんなワケで、まずは私が考えるSPやよいの特徴について触れ、その後、無印も含めたやよいについて、今回のチャットを通じて考えた事などをまとめてみたいと思っています。
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そもそも、アイドルマスターSPパーフェクトサンとは、どんなゲームか。
天海春香」「菊地真」「高槻やよい3名のアイドル候補生の中から一人を選択し、ライバルキャラ我那覇響
の切磋琢磨を経験しつつ「アイドルアルティメイト優勝」を目指す、というのが、SPのメインシナリオです。
ここで面白いのが、響との関わり方、響に対する意識が、3者それぞれでまったく異なるという事です。
同じ目標を持ち、同じ人物と競い合うのに、その反応は三者三様。それでこそアイマスらしい、とも言えるでしょう。
では、Vinegar56%さんが気になったというやよいならではの特徴を考える為に、3人それぞれにとって響がどんな存在か、というのを見てみましょう。
端的に表れるのが第3週夜、初オーディション後の事務所での会話。響の「オーバーマスター」を視聴するシーンです。
・春香の場合
「私も、響ちゃんみたいな歌を歌いたいです。響ちゃんみたいになりたいですっ!」
ScifoP:アイドルマスターSP 春香さんとの13の約束 第3週目

・真の場合
「いつか、ダンス対決とか、してみたいなぁ。へへへっ!」
SynP:アイドルマスター Badな一日 真編8.5 

・やよいの場合
「私もいつか、みんなに「元気になったよ」って、言ってもらえるアイドルに……」
リタP:PSPではじめてのアイマス実況プレイ 第4話

春香は「響みたいになりたい」と言っている。真は「響と対決したい」と言っている。
この違いはわかりやすいですね。憧れとして見るか、ライバルとして見るか。
やよいの言い方は、一見すると春香と同じ事を言っている様に見えますが、実は違います。
みんなに「元気になったよ」って、言ってもらえるアイドルに(なりたい)」。
やよいは、この初期の時点で響よりも「みんな」を意識しているのです。視線の向きが違うと言ってもいい。
響の歌そのものに憧れ「あんな風に歌いたい」と話す春香よりも、真の思考に近いですね。
この違いは、ストーリー後半で更に顕著になります。
・春香の場合(IU最終予選)
「あ〜あ〜、ドレミレド〜♪GentleよりWildに〜♪」
アイドルマスターSP 春香さんとの13の約束 第46週目その2

最終予選後「私は響ちゃんみたいには歌えない!」と弱音をPにぶつけ、会場を飛び出した春香。
その春香が何をしていたかというと、公園で歌を歌うことで「私は歌が好き」という最初の気持ちを思い出し、
「プロデューサーが信じてくれる私を信じます」と、気持ちが前向くのですが。
ここで歌っているのが「オーバーマスター」なんですよねぇ……。そこはせめて「Colorful Days」じゃないの、と。SPのテーマ曲だし。
つまり、ここに至っても春香にとって響は憧れであり、響の歌が目指すべき目標という事になります。
この姿勢は、春香がIUで優勝した後も変わりません。
・真の場合(IU最終予選)
「少しでも、振り付けの完成度、高めておきたくて……!だから、止めないでください!」
アイドルマスター Badな一日 真編82

響のアイドルとしての力、ダンスに追い込まれ、焦るのは春香と同じ。ですが、真は自身のダンスを磨くことに専念しています。
その想いが強すぎてケガを悪化させ、それでも練習するという真をPは諫め「響との対決を楽しむ事」を思い出させる……という流れ。
そうして優勝した真のダンスは響の心を打ち、響はひとり、楽屋で真のダンスを踊る事となります。
・やよいの場合(最終予選)
「私、響さんも元気にします!みんなを元気にするって、そういうことですよね!」
PSPではじめてのアイマス実況プレイ 第27話

響が実家の兄と不仲である事を憂えたやよいが、独断で彼にメッセージを送り、響とケンカした後のPとの会話にて。
おわかりでしょうか。初期において「響の様にみんなを元気に」と言っていたのが、ここでは響も「みんな」に含めて考えています。
やよいにとって、響はライバルである以前に、元気であってほしい対象、笑顔でいてほしい人なのです。
そして、その為に自分に何ができるか、何かができるはずだと、常に考えています。
他の二人がアイドルとしての響を見、その背中を追っているのとは根本的に異なるモチベーションで、やよいはIUを戦っています。
この意識が、後の本選前に披露する「キラメキラリ」へと繋がっていくことになります。
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やよいの響に対するスタンスの特殊性。その正体は決勝前の、響とのやりとりで明らかになります。
「実は、響さんって、お姉さんみたいだなあとか、思ってました!えへへ……
私、長女だから、お兄さんやお姉さんに、ちょっとあこがれてて、だから、
響さんに明るく話しかけられて、いっぱい元気、もらってたんですよ!」

PSPではじめてのアイマス実況プレイ 第34話

「お姉さんみたいだと思ってた」。
つまり、やよいは響を自身の家族の延長として考え、その考えに基づいて行動していたワケです。
やよいにとっての家族、その笑顔の重要性というのは、Vinegar56%さんとのチャット内で何度も言及した通り、彼女のアイドル活動の根源に関わる要素。
そこにこだわっていたのは、彼女にとってはごく自然な事だったのですね。
で、響の側は「キラメキラリ」を贈られたことで、それまで庇護の対象と考えていたやよいが、実は自分をこそ守ろうとしていた事を知り、
アイドルとして、ライバルとして全力で戦う事を宣言します。このシーン、大好き。
ところが、準決勝時に黒井社長の真意を知った響はテンションが急降下。決勝の場に現れた時はボロボロの状態でした。
やよいの弁当で「元気をもらった」とは言うものの、モチベーションの差は如何ともしがたく、結果、IU決勝戦は消化試合みたいな事になってしまいました。
ちなみに、他のアイドルがライバルの時は、響は黒井社長の考え方を認識し、それでも自分をアイドルとして開花させてくれた恩義から、彼の下でIUを戦っています。
最終盤まで黒井社長の事を信じきっていたのは、やよいシナリオのみ。これも興味深い点かと。
彼女にとってライバルを見いだせない戦場というのは、他にも増して孤独な場所だった、という事なのかもしれませんね。
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ここまで、響への関わり方を通して、SPパーフェクトサンシナリオにおける、やよいの特殊性について考えてみました。
つまるところ、彼女の考え方、他者を見る目線というのは、無印のそれと大きく変わるところはなく、彼女の家族を基準としているということです。
「敵のはずの響に対して、何故こんなに親身なのか」と考えれば、確かにSPのやよいは博愛の化身として映るかもしれません。
しかし、彼女にとって響は敵ではなく、むしろ元気でいてくれなくては自分が困る相手なのです。
何故なら、やよいにとって響は「お姉さん」だから。妹である自分が頼り、共に笑っていなければならない存在だから。
……といったところでしょうか?細かい部分をすっ飛ばしているので、かなり乱暴な話になっている気がしますが、
私にとってのSPパーフェクトサンは、こういう構造に見える、というお話でした。
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ここからはおまけ。
今回、私はVinegar56%さんとの対談の中で、事更に「やよいの目線」というものを強調してお話ししました。
やよいの視点、765プロの誰よりも低い視界から見た、彼女の世界というものについての、私の解釈を。
何故そうしたかというと、頂戴したご質問が「やよいにとってのアイドルとは」というものだったから、
という短絡的なものがひとつ。
もうひとつは、以前に別の場でのチャットを御一緒させていただいた際に「やよいは天使じゃない」とお話しながら、その説明を全くしていなかったという心残り。
父と母の間に生まれ、13年という年月を生きてきた、血肉を持つひとりの人間としての高槻やよいを、少しでもイメージできるお手伝いができればと。
(この場において「それはポリゴンだから」とかいう論は意味がないのでスルーで)
故に、今回のチャットでは触れられなかった要素というものがいくつかあって、その最たるものが連載の最終回で話題となった「ファンの声援を自分の力に変えるやよい」。
恐らくは多くの人にとって、やよいのアイドル像として共通認識されているだろうこの部分を、なぜ今回カットしたか、というと、ここに表れるやよいの特性というのは、
(少なくとも初期から中期において)「やよい自身が考えるアイドルの姿ではない」と、私は考えているからです。
やよいが目指しているのは「みんなを元気にするアイドル」。その対象が家族であり、友人やご近所の皆さんであり、SPにおいては響であった様に。
「私が皆に力をあげるんだ」という、ある意味では幼稚な願いです。
しかし、実は彼女がアイドルとして真に輝きを放つのは、やよいが目の前のファンから元気を受け取り、そのエネルギーを自らの力とした時。
そしてその姿こそが、やよいが本来目指すべき「みんなを元気にするアイドル」なのです。
それは一方的な願望から発する力ではなく、相互に作用しあい高め合う、より高位の意識から発する力。
その事をよくあらわしているのが、無印のお別れコンサートでしょう。
やよい アイドルマスター 向日葵娘と豚の足 64 ラストコンサート


ここでのPのベストアンサーである「辛さは、笑顔で吹き飛ばそう!……できるな?」という言葉は、一見やよいを突放している様でいて、
実はPのやよいへの信頼を示す言葉だという事は、
ここまでの連載記事を読んでいただけた方にはわかってもらえると思います。
そして、ここまでのライブ経験、ファンとの一体感がやよいに与える影響を共に体験してきたゲーム内でのやよいPは、やよいならば
このラストライブでもその現象を再現し得ると考えた筈です。
だから、ライブ終了後、Pはやよいに対して、こう声をかけるのです。
やよいらしいな」と。
やよいのプロデューサーが為すべき事。
それは彼女を全肯定する事ではなく、彼女が隠し持っていた願望を引き出した上で、その向こう側にある真の力の存在を、やよい自身に気付かせる事だと、私は思います。
元気は、笑顔は与えるものではなく、分かち合うものだという事。人は支え合うものだという事。
その事に気付いてくれれば、例えプロデュース期間を終え、別の道を歩むことになっても、やよいから笑顔が消える事はない。
社会的自立心の成長
それが「アイドルマスター」世界における、高槻やよいというキャラクターの担う物語。
……これが、問3で私がVinegar56%さんに話そうとしていた内容です。
何故、私はアイドルマスター2において、やよいの全賞制覇エンドを「納得できない」と言ったのか。それは1年後の765プロの姿が、あまりにも閉じているからです。
「おにいちゃんが帰ってくる家を守る」。それは、やよいの純粋な願いだったのでしょう。それは間違いない。
でも、765プロに所属する他の仲間達は、その願いを本当に望んでいたのか。やよいがプロデューサーとして765プロの中心となり、更にやよいPがその後を継ぐ。
そんな未来が、果たして「ベストエンド」「トゥルーエンド」と呼べるのか。私には、そうは思えません。
彼女が持つ可能性は、そんな小さな願望をかなえる為に使うべきものではないと、私は思います。
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さて。
このように、私はVinegar56%さんによって、すっかり本音をひきずり出されてしまいました。
……やられっぱなしってのは、フェアじゃないよね?
というワケで、次回。

突発企画!「すごろくさん」に「天海春香」について訊いてみた!!
乞うご期待!